The 20th Anniversary
2022を迎えて
Co.山田うんは2002年に立ち上げました。当時から今に至るまで、ずっと手探りで駆け抜けて、七転び八起き、気づけば20周年の2022年となりました。
立ち上げから現在に至るまで、メンバーはオーディションで選出しています。毎回シーズンごとに唯一無二の才能を持ったアーティストとの縁に恵まれ、時代に呼応するダンス作品を製作・発表してきました。今いるメンバーもいないメンバーも、今まで関わってくれた全メンバーみんな、創造性に溢れ、強くて、弱くて、人間らしくて、一人一人がカンパニーの特徴を表してくれて、思う存分力を発揮してくれましたし、今もそうです。
思えば2003年パークタワーホールにて第一作目「ハイカブリ」を発表し、翌年2004年は代表作「ワン◆ピース」が誕生。以来勢いが生まれ、福岡、広島、つくば、仙台、札幌といった国内ツアーから、欧州文化都市パトラ、シビウ、インドネシアダンスフェスティバル等、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、中東といった文化の違う様々な国々でのフェスティバルに招聘されるようになりました。
そして、日本各地津々浦々でもめまぐるしい出会いが次々と起こります。
全国各地の小中学校や保育園、施設でのアウトリーチでは、北は北海道から東北~関東~中部~北陸~甲信~関西~中国~四国~南は九州まで、たくさんの子供たちにあってダンスの喜びをともに味わい元気を交換します。中には十年来継続している<希望の郷 東村山>とのダンスの取り組みや、北上市文化交流センター さくらホールでの<キッザート>などもあります。
私の育った町、茅ヶ崎市では2005年以降、茅ヶ崎市民文化会館でのワークショップやアウトリーチ、市民参加作品の他、「かえる」「春の祭典」「かや」といった壮大な作品を製作・発表しました。島根県大田市では廃校になった学校を再利用した「湯里まちづくりセンター」を拠点に、複数年にわたり夏合宿を行い、ダンスを通じて地域の皆様と心あたたまる交流を。青森県八戸市では南郷アートプロジェクトで地元のジャズミュージシャンや<島守神楽>との出会い。2016年あいちトリエンナーレでは、愛知県奥三河の神事芸能<花祭>と出会いにより土舞台と松明を焚いて踊る大作「いきのね 」が誕生しました。
国際交流もひっきりなしです。マレーシアの芸術学校ASWARAへの授業交流、2016年「ワン◆ピース」マレーシア版の製作・発表、2017年「季節のない街」のマレーシア版「People without seasons」の製作・発表とツアー。イスラエルの舞踊学校Masloolへカンパニーレパートリー「十三夜」の振付指導、そしてテルアビブで、カンパニーとの合同公演も行いました。
コロナ禍になる直前はレストランとのコラボレーションで「ディナーとダンス」の融合作品を手掛けました。東京表参道の<8ablish>、東京都現代美術館内の<100本のスプーン>で新しいディナーショーを製作・発表し、人と人の新しい出会い方を仕掛けました。最近はまたここからスタートしたいと思ったりもします。
とにかく私たちは、日本でも世界のどこに行っても、日夜、踊ることで生まれる場の力を作り続け、そこに身を投じて生きているカンパニーです。それが私たち一人一人の血肉となり、思考し、創造する力、踊ることへと繋がります。
新しい発想と可能性をダンスで切り開こうと、私一人ではなく、カンパニーという集団性で前に進めないだろうか、そういうことが可能な集団はどうやったら作れるだろうか、そう思って、いつも道のないところに道を開くような、そんなサバイバル活動をダンスを通してやってきました。たくさんの国、文化、地域、人々、一人一人からたくさんの栄養をいただきながら。20年やってこれたのは多くの人たちが、それぞれの立場を超えて手を差し伸べてくれたり、苦労や葛藤とともに注いでくれた熱い情熱のおかげです。これまでの月日に感謝を申し上げるとともに、これから先、いつも新たな気持ちで、新しい形を切り開いていきたい、苦楽にまみれながら、踊る心身の喜びで生まれ出る、場所や時間を作り続けたい、と思っています。未来に向けて、今後ともご指導、ご鞭撻、そして応援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年1月11日 山田うん